日本の開国後、英米欧で開かれた万国博覧会に参加し、多くの美術工芸品を出品したことが刺激となって、欧米では多くのジャポニスム銀器が作られました。アールヌーボーの時代よりも、20-30年前のことです。この時代の作品は、早い時期のものほどオリジナリティーに富み、後の時期のものほどパターン化する傾向があります。 この鶴のティーセットはまさにその、ジャポニスムの初期のものです。




この時代独特の帯状装飾に、エスセティックムーヴメント銀器独特の「壷に生花」、文様、回りには、イネ科の植物や梅、鶴のレリーフ。

3月19−23日にアンティークモールで開催する「シルバー展」にも、この様式の銀器を多数展示販売の予定です。

19世紀末の欧米人が意欲的に取り込もうとした「東洋」「日本」のモチーフの扱い方は、まるで西洋人の作ったサムライ映画と同様のぎこちなさを感じます。

ですが同時に、現代の私達の暮らし、特に住居が西洋かしながらも、和の暮らしと多分に同居している中にあって、このような「和を取り込もうとした西洋銀器」は不思議にしっくり馴染みます。個人的に、英米に住んで最初に惹かれた分野の銀器です。


それぞれのハンドルの付根部分にも、
立体の装飾が施されています。

この画像では見えませんが、ポットと砂糖入れ(砂糖入れにも蓋があるのがこの時代のアメリカティーセットの特徴です)のツマミは、ヴィクトリアン中期独特のスタイルの、木の実を模したもので、蓋自体にも、葉と地紋のレリーフが施された凝ったものです。


ティーポットの注ぎ口やクリーマーには
立体像の鶴で、巣の中の雛に餌を与える様子を
表現しています。


ティーポット、クリーマー、シュガー、3点を
それぞれ4羽の鶴が背負っています。